選手会は、WBC(ワールドベースボールクラシック)出場しない決議を行いました。

日本プロ野球選手会は、7月20日、大阪市内のホテルで組合臨時大会を開催。第3回以降のワールドベースボールクラシック(WBC)への参加を討議の結果、第3回のWBCに参加しないことを決議いたしました。

選手会はかねてより野球の国際大会の意義・必要性を十分に認め、真の国際大会を通じ、世界の野球先進国が、共に野球の国際普及も視野に入れた発展を行っていくことを切望してまいりました。

しかしながら現況のWBCは、実質的な運営主体であるMLBの利権拡大のために大会であり、日本などの主要な参加国の当然の権利、利益を犠牲にして運営される大会となっています。このような状況のまま、我々の世代が、安易な妥協のもと、参加することは、将来の日本の野球に負の遺産を相続するという、禍根を残すことになりかねないというのが理由です。
なお、野球の国際大会において“侍ジャパン”の名の元に行う日本代表による、独自の国際試合への参加については積極的に協力していく所存です。

決議に至った経緯
私たちはWBCを、真の世界一を決める大会として尊重しようと努め、全力で協力してきました。その結果、日本代表は過去2回の大会でいずれも優勝を収めることができました。大会にはMLBに偏った収益分配の不平等や、利益重視の結果から日本と韓国が多数にわたって対戦するなどの参加国の対戦方式、その他さまざまな問題がありましたが、初期段階では、大会の価値を高めることを優先し、主催者であるWBCインク(MLBとMLB選手会の共同設立の会社。以下WBCI)の定める通りに従ってきました。

しかしながら現在、WBCは、第1回、第2回大会とも、約1800万ドル(日本円の当時のレートで約16億円〜20億円)にも及ぶ多額の利益をあげ、興行的にも十分に成り立つ大会に成長しています。したがって、現在では、興行リスクの高い未成熟の大会であるという前提で特別扱いすべき理由はなく、オリンピックやFIFAワールドカップのような、国際スポーツイベントと同様の参加国平等を認めていくべき段階に来ているといえます。

にもかかわらず、WBCでは、かつてのオリンピック野球日本代表では、参加国の固有かつ当然の権利として認められていた、代表チームのスポンサー権、ライセンシング権を、全てWBCIに譲渡することを参加条件としています。その上、大会のスポンサー収入の半分以上は日本企業からの収入であるにもかかわらず、WBCの利益の66%は、アメリカのMLBとMLBPAが独占する形となっており、日本は、わずかな利益分配(13%)を受けるのみとなっています。
つまり日本代表の運営や練習試合に要する多大なコストなどを考えれば、優勝して多額の賞金が入ってこない限り、採算がとれない状況を強いられているのです。
サッカー日本代表が、毎年数十億のスポンサー収入があり、これによってチームの強化や育成に多くの費用が充てられ、将来の代表チームの発展につなげることができているのと大きな違いです。

私たちは、WBCの過去2大会の会計資料を検討した結果、日本代表にスポンサー権やライセンシング権を戻しても、WBCは十分、採算のとれる大会になることを試算し、すでにWBCIに証明済みです。しかしWBCIは、代表チーム固有の権利であるはずのスポンサー権、ライセンシング権を、交渉において一切認めない姿勢を貫いています。
このような姿勢に対し、改善を迫るべく、選手会では昨年7月の臨時大会において、通常の国際スポーツイベントにおいて、参加国の当然の権利として認められている代表チームのスポンサー権、ライセンシング権(日本代表グッズのライセンシング権)を、参加国に認めないという参加条件を、主催者であるWBCIが変更するまでは、WBCには出場しないことを決議しました。
しかしながら現在に至るも、根本的な部分において、選手会が主張する問題点是正への回答はなく、よって我々があらためて参加を視野に入れた討議は行えませんでした。
繰り返しになりますが、選手会は、世界の野球普及のために、野球の国際大会は不可欠であると考えますし、オリンピックから野球がなくなった今、その必要性はさらに高まっています。 もちろん選手自身も飛躍のための大きな舞台であると考えています。WBCが、真の国際大会ではなく、参加各国の公平性を無視した大会として進んでいくことが誠に残念でなりません。
このような状況の中、本当に残念ではありますが、選手会は未来の日本の野球のことを考え、WBCに参加することはできないとの判断を下しました。
応援して下さっているファンのみなさまには、本当に申し訳ありませんが、長年にわたってプロアマ全体で作り上げて来た日本の野球の価値の集積である「日本代表」というものを今後永遠にMLBに奪われるということはできないと判断してのことだということ、選手にとっても非常に苦渋の決断だったということをご理解いただけると嬉しいです。

なお同日行った社団法人臨時総会では、一般社団法人への移行などが承認されました。

組合臨時大会 社団臨時総会出席者

ソフトバンク  本多 松田 大隣
日本ハム    鶴岡 稲葉 田中 斎藤 中田
西武     栗山 中村 岸
オリックス  鈴木 岸田 大引 西
楽天     嶋 田中 青山
ロッテ    大松 渡辺 角中 益田
中日     吉見 井端 荒木 大島 田島
ヤクルト   武内
巨人     内海 山口 坂本 長野
阪神     関本 新井 能見
広島     東出 倉 前田
横浜     新沼 三浦


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