日本プロ野球選手会が、陸前高田市でキャッチボールイベントを実施

日本プロ野球選手会は、2011年5月28日(土)、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市の広田町と高田町を訪問、元中日の田野倉講師、元西武の松沼講師・大友講師、そして元阪神の森講師のOB4名によるキャッチボールイベントを開催しました。
3月11日に起こった東日本大震災以降、日本プロ野球選手会でも、選手と事務局員が一丸となって、いま何をすべきなのか、自分たちに何ができるのかを問い続けてきました。人は、衣食住が安定的に満たされ、将来への不安がなくならない限り、スポーツやエンターテインメントを楽しむことはできない、と言われていますが、一方で、大きな不安とともに日々の生活を送る中、その体を癒し、心を潤し、笑顔を取り戻してくれ、子どもたちを中心に未来へ向かって歩んでいく活力を与えるのも、スポーツやエンターテインメントの大切な役割ではないかと考えているところに、被災地の皆さまから、ぜひ子どもたちが体を動かし笑顔になれる機会を作って欲しい、との要望があり、かねてから選手会ファンコミュニケーション活動を通じた地域活性を推進し、「旅のチカラ」を通じて被災地支援を行っているJTBグループとの連携のもと陸前高田市にてキャッチボールイベントを開催することとなりました。

会場となったのは、午前中は広田小学校体育館、そして午後は岩手県立高田高等学校屋内野球練習場。地域の野球チームに所属する小学校2〜6年生の計140名が参加。(広田小学校60名/高田高校80名)野球経験のある子供たちには、バッティングの指導も行い、練習の機会の少ない子供たちにとっては、絶好の練習の機会となったようです。
イベントレポートは後日、写真とともに選手会ブログにて紹介いたします。
陸前高田市は、東北地方にありながら温暖な気候に恵まれ、たとえ雪が降ったとしても昼には融けることが多いというころもあり、昔からスポーツが盛んな土地柄、男の子なら野球、女の子ならバレーボール、と言われてきたそうです。最近では、女の子でも、身体をたくさん動かしたい子はバレーボールよりも野球を選ぶそうで、今回も数名の女の子が元気に参加していました。

両会場ともに、“今日は遠いところからようこそいらっしゃいました!短い時間ですが、よろしくお願いします!”と元気な挨拶で出迎えてくれました。それを受けて、“もっと早く、野球を上手になるために、野球の基本中の基本であるキャッチボールを正しくやる方法を今日は覚えてもらいたい”と森講師が挨拶、参加講師を紹介し、キャッチボール普及のために当会が監修した“安全で初心者でも楽しめるキャッチボール専用球「ゆうボール」”を使用し、まずはボールの正しい握り方の指導からイベントをスタートしました。正しい握り方、捕り方、そして投げ方を田野倉講師、松沼講師から指導した後、大友講師と森講師によるキャッチボールデモンストレーション、そして参加者同士の実践と続きました。一歩ステップしてから投げる、ボールが来る方向に身体を向けて胸の前でボールを捕る、という細かい指導に、キャッチボールが慣れているはずの子どもたちも最初は身体が思うように動かず、ボールがあちらこちらに飛んでいっていましたが、巡回する講師から手取り足取り指導を受けると、見違えるほどにまっすぐ、そして強くボールが飛ぶようになっていました。そして、一通りキャッチボールを行ったあとは、バッティングの基礎講習も実施。身体の動かし方、バットの動かし方、力点の場所などを田野倉講師から指導した後、体育館をいっぱいに使ってサイズの大きいボールを使って実際にバッティングを実施。子どもたちが思いっきり打ったボールを、子どもたちが大はしゃぎで捕っていました。
その姿を見学している保護者にお話を伺ったところ、震災後、ゴールデンウィークから毎週リーグ戦を始めているけれども、平日は学校もあり、場所もなかなか確保することができないことから、練習ができず、リーグ戦にはぶっつけ本番で出場しているとのこと。野球だけでなく、日々の学校の授業でも校庭での体育の時間がなくなり、体育館があっても避難所になっていたり、床が凸凹になってしまっていたりと運動をする環境にないことも多く、運動そのものをする機会がずいぶんと減ってしまったそうです。現在保護者が集まって、駐車場に土を入れ、ローラーをかけて整地し、周辺の瓦礫にボールが飛ばないように網を張って、練習場を準備しているとのことでした。一方、震災発生が、学校が終わり、ちょうど野球の練習に向かう時間だったことから、多くの子どもたちが野球道具を抱えた状態で逃げたそうで、ユニフォームやシューズ、グラブといった野球道具は流されずにすんだ、ということでした。自体は野球が盛んな陸前高田市では、お弁当の準備や監督のケア、グラウンドへの移動などを当番制で分担するなど、保護者が大きな役割を担っています。しかし震災の後は、それぞれの被災度合いを気遣いながら、携帯電話で連絡を取り合いながら、今まで以上の協力体制でサポートを続けているそうです。震災前までは、当たり前のようにワゴン車を使っていたけれども、それも流されてしまったので、なんとか軽自動車を工面して、子どもたちをリーグ戦会場に連れていっているとのこと。それでも、どんなに大変でも、子どもたちには野球を続けて欲しい、身体をたくさん動かしてうまくなってもらいたい、とのことでした。今まで“親が無理やりやれというから仕方なく”とチームに参加していた子どももいたそうですが、震災後はずいぶんと野球に向かう姿勢が変わったそうです。練習する機会が少ない中、このように指導に慣れたOB講師が、身体を使って丁寧に指導してくれるというのは子どもたちにとって本当にためになる、との感想を頂きました。

イベントの終わりには、講師から、“キャッチボールの基本は相手を思いやること、それが積み重なってチームになる。思いやりということを一生覚えていって欲しい。思いやりの心を持ちながら、これからも助け合って、復興に向かっていって欲しい”というメッセージと共に、ゆうボールをプレゼント。そして、たくさんご飯を食べて元気に復興に向かって欲しいという願いを込めて、福井県の兵左衛門さんより、折れたバットで作った「かっとばし」をプレゼントしました。

今年日本プロ野球選手会では、被災地の復興状況や風評被害といった被災地を取り巻く二次災害などの状況をみながら、選手会ならではの復興支援活動を進めていく予定です。

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