シンポジウム「夢の向こうに」09年オフ総括

〜今回も6県で実施。6年で5万人の球児がプロ選手の技術に接しました。

●関係者の尽力で実現した夢の時間

現役選手と高校球児とが一堂に会して行う技術指導シンポジウム「夢の向こうに」が、2009年12月、岩手、埼玉、和歌山、広島、高知、熊本の 6ヶ所で実施されました。「夢の向こうに」は、もともと03年に選手会ホームページで行ったオークションを契機に制作した高校球児の向けのメッセージ集のタイトルでした。プロに上り詰めた誰もが通過してきた高校野球で甲子園をめざした日々。長い間プロと高校球児が接点を持つことが難しかった中で“せめて頑張れぐらいは言えないのか”との想いで誕生したのが、球児へのエールをまとめたこの小冊子でした。伝えたかったのは、“思い続ければ夢は叶う”ということ。挫折を知らないエリートだけがプロにいるのではない。失敗に落ち込み、凄いプレーをする同級生を見て、挫折する日々の中で、夢を想い続けたからここにいる。技術は伝えられなくても心は伝えたい。そうして誕生した小冊子は反響を呼び、関係者の尽力により、2003年オフ、大阪と東京の2ヶ所で特別シンポジウムとして実現したのが「夢の向こうに」だったのです。そして04年オフからは各都道府県6ヵ所を8年掛けて回るというプロジェクトが発足しました。

●選手それぞれが自己の信念を披露

セパ2球団を1ユニットに担当県を決め、投手、捕手、野手をバランスよく選抜、投球、打撃、走塁などを指導するのが「夢の向こうに」の基本パターン。地元の高校野球連盟が当日の運営や、参加部員の調整を行い、進行は、栗山英樹氏、湯舟敏郎氏らOBをコーディネーターに行います。
今回は12月12日の高知、広島の両県でスタート。高知の担当は、阪神と日本ハムでしたが、注目は、やはり地元の英雄、藤川投手(阪神)。“いい投手は姿勢がきれいなので日頃から姿勢を意識している。投球で意識しているのは体の軸だけ”などと自らの信念をアピールし。サプライズで高知商業の恩師も登壇し、懐かしむように当時の模様のやり取りする一幕もありました。19日は和歌山での実施。こちらは中日、オリックスに加え、地元出身の西口(西武)、小久保(ソフトバンク)も参加。小久保選手はこれまでの経験もあり、他の選手が勉強になったと感嘆するほどの独壇場でした。小久保選手は、キャッチボールでの投げる方、捕る方双方の思いやりが基本と説いた上で、打撃では“ゆっくりした素振りをすることで、どこを使うかを意識する。トップからインパクトまでは腹筋、フォローでは背筋を使う。10回やるだけでもかなりしんどい”と述べ、打撃の手本で登場した岡田選手(オリックス)を前に“練習では120%で振っておかないと試合で振れない。だから毎日1?でも遠くに飛ばす努力をする”と王前監督からの助言も披露していました。
また岡田選手も“なぜ逆方向にあんなに飛ばせるのか”という高校生の質問に、照れながらも“体幹を意識するようになってから”と答え、また不調の対処法を聞かれた際には“君たちに不調はない、死に物狂いで練習すること”と気合を入れていました。またベテラン西口投手は、下半身を鍛えること、走ることの大切さを基本と力説。トレーニングではほとんど器具を使わないが、ほとんど故障がないと話していました。

また26日の熊本では、パネリストの松中(ソフトバンク)、松岡、吉本(東京ヤクルト)、野田(埼玉西武)の4選手が熊本出身。川?(ソフトバンク)も鹿児島出身ということで、最初の挨拶では、熊本弁や鹿児島弁が飛び交っての挨拶で会場を盛り上げ、投手編では、松岡選手が投球時の腰の回転を重視した投球フォームを、捕手編では、野田選手が低めのキャッチング方法を自ら実践しながら指導。守備編では、川?選手が声をだることの大切さを、自ら声を出して指導したり、ゴロ捕球時の体勢は相撲の”しこ”を踏むように股関節にしっかりと力を入れるとアドバイスしました。走塁編も、川?選手が中心で「リードの時は口をポカンと開けて力を抜いておく」「投手の一点を見つめると力が入っていいスタートが切れないので、全体をぼんやりと見る感じでリードをとる」コツを教えていました。
 打撃編では、いよいよ地元の英雄、松中選手が登場。ダウンスイングとポイントの位置を指摘し、ボールを遠くに飛ばすにはもっとポイントを近くして、線で捉えることを意識するように指導した。そしてシンポジウムの最後には、当日が誕生日であった松中選手に、母校の秀岳館高校(旧八代第一高)野球部主将から花束を贈呈されるというシーンもありました。
●2012年以降に向けての構想も

この「夢の向こうに」の参加する若手選手には“自分が技術指導なんて”と躊躇する選手もいます。しかしプロになるほどの選手には、必ず自分なりの技術的な軸や信念があるはずだからそれを話してくれさえすればいいと選手会では伝えています。その結果、どんな選手も結果的には、壇上で堂々とした姿を見せてくれます。また自分の技術を、教えることを通じて言葉にできたことで、次への飛躍につながったと語る選手もいます。この「夢の向こうに」も2011年には全都道府県を回り終えます。今年からはその先も見据えた新しい「夢の向こうに」も準備していきたいと考えています。

□「夢の向こうに」09年オフ実施データ

●広島 12月12日(土)広島厚生年金会館(ウェルシティ広島):広島市
参加校数105 軟式野球部6 部員数1,605 指導者数102 計1,707

●高知 2009年12月12日(土)高知市文化プラザ(かるぽーと):高知市
参加校数25 軟式部野球部0 部員数783 指導者数44 計827

●埼玉 2009年12月19日(土) さいたま市文化センター:さいたま市
参加校数143 軟式野球部3 部員数1,338 指導者数250 計1,588

●和歌山2009年12月12日(土) 和歌山県民文化会館:和歌山市
参加校数47 軟式野球部8 部員数1,010 指導者数114 計1,124

●岩手 2009年12月23日(祝) 盛岡市民文化ホール(マリオス):盛岡市
参加校数57 軟式野球部2 部員数1,108 指導者数108 計1,216

●熊本 2009年12月26日(土) 熊本県立劇場「演劇ホール」:熊本市
参加校数75 軟式野球部4 部員数918 指導員75 計993

コーディネーター
栗山英樹氏:広島・埼玉・岩手・熊本を担当 湯舟敏郎氏:高知・和歌山を担当

□「夢の向こうに」04年〜09年オフ(各6都道府県)+03年(プレ開催 東京・大阪)累計
参加校数2,804 軟式野球部110 部員数50,583 指導者4,485 計55,068

▲ページのトップに戻る