玉木 拍手をしていない方の反応のほうが興味深いですけど。日本のプロ野球は名ばかりで、実は企業野球なんですね。企業スポーツ。企業スポーツの一番の目的は親会社の宣伝です。これが一番。親会社の宣伝をするために野球を利用しているわけです。野球選手は利用されているわけです。そういう野球選手の自立しない形態が日本ではずっと続いてきた。で、野球選手たちが自立しようとするとアメリカに行かないといけない。おまけに親会社がマスメディアなので、こういった発言も報道されません。報道してくれません。読売新聞が読売巨人軍を持ち、朝日新聞が高校野球を持つ。あの非スポーツ的な真夏の暑いさなか、スポーツに最も適さない時、子供たちの体を傷つけて。国連の人権委員会に訴えたいくらいの催しに熱中している朝日新聞。このふたつの大きなメディアが野球を食い物にしているわけです。野球が自立しないとプロ野球にはならない。スポーツクラブとしての発展もないわけです。これが基本なんです。企業スポーツというのは、いろいろな欠陥を持っています。例えば東京オリンピックの女子バレーボールのニチボー貝塚以来、ユニチカであり、日立であり、ラグビーの新日鉄釜石であり、神戸製鋼であり、ひとつのチームが強い時に、あたかも全体のレベルが上がったような錯覚を持つわけです。スポーツ界全体の発展を願わずに、企業の発展を願うとこうなる。大学スポーツも同じです。早稲田が強い、慶応が強いというと、あたかも全体のレベルが発展しているような錯覚に陥る。スポーツ界全体を見ている人が誰もいない。読売新聞を売ろうとしている人、日本テレビの視聴率を上げようとしている人、朝日新聞を売ろうとしている人、あるいは、その他親会社の利益を出そうとしている人がスポーツを利用しているから、この国のスポーツは全く発展しない。これは大問題だということで、ここで問題提起したい。今日はマスコミの方もたくさん来ていると思うので、ぜひ私の発言をできればどこかで報道していただければ幸いに思います。よろしくお願いします。
青島 大上段から、血も出ないほどバッサリと切られた感じですけど。それではそのためにはという個別のお話を、後ほど伺っていきたいと思います。続いて金子さん、よろしくお願いします。
金子 玉木さんの後だとやりにくいですね(笑)。日本のスポーツのどこがおかしいかというと、僕はスポーツで一番大切なのはやはり結果だと思うんですけど、玉木さんもおっしゃっていましたが、結果よりも広告が大事になってしまっている。これは野球に限らず、全てのスポーツに当てはまっています。本来、一番国際競争力があるスポーツの形というのは、トップチーム、トップリーグに一番お客さんが集まる。強いところをお客さんが支える。そういう形態が一番健全だと思うんですが、日本のサッカーが一番ダメだった頃は、高校サッカーが一番人を集めていた。僕はラグビーも好きなんですが、日本代表の試合よりも、社会人の試合よりも、早明戦のほうが人を集めていた。今日は古田さんと岩本さんが並んで座っていらっしゃいますけど、ヤクルトスワローズと日本ハムファイターズ、どちらが強いチームなんだというと、今年の話をしてしまうと、岩本選手に申し訳ないんですけど、そんなに差はないはずなんです。ところが、実力に関係なくセ・リーグなのか、パ・リーグなのかというだけで、お客さんの集まり方が違う。プロ野球は、日本人にとってとても影響力があるスポーツですから、強いところにお客さんが集まる。強くなれば報われるというシステムをつくっていくために、これは選手会だけでなく、球団経営をなさっている方の歩み寄りが必要でしょうけど、健全な形、自分がそこでプレイしていることに誇りを持てるような、12球団によるプロ野球が今世紀中に生まれることを願っています。
青島 ありがとうございました。完全に締めくくっていただきましたが。さあ、続いては小宮山選手、お願いします。
小宮山 こんばんは。現在無職の小宮山です。
会場 笑い
小宮山 今、お三方がおっしゃったとおりで、言ってみれば去年まで古田君の横の席に座っていた者として、何年か前からそういったことを非常に痛感しておりました。どうしたらよくなるのか毎日考えておりまして。まあ、自分の夢だったアメリカに行って、向こうの野球を自分の目で見て、肌で感じて、なんとか日本のためにならないかと思っていました。メジャーリーガーとして向こうで野球をする機会を与えていただきました。野球をやってまいりました。その経験を、日本国内でどのように活かしたらいいのかということも含めて、あまりにも向こうとの違いが多過ぎたので、まずはどこから手をつけていいのかはっきりとはまだわかっていません。自分のなかでもはっきりと消化しきれていない部分がありますので。日本とアメリカ、どちらがいいのかという答えを出すことも未だに不可能です。ただ、日本で千葉ロッテマリーンズ、横浜ベイスターズでユニフォームを着ていた時に感じた問題点というのは、明らかに未だに存在していると思いますので、なんとかいい形で、“ファンのために”というのをキーワードに、答えを見つけられればと思います。例年ですと、選手会側で言いたい放題のことを言っていたんですが、今日はパネリストとして冷静に考えていきたいと思います。
青島 小宮山さんは、パ・リーグからセ・リーグへチームが変わったご経験もあるし、日本とアメリカの野球を両方知っているわけで、非常にいい体験をお持ちでいらっしゃいますので、いろいろと伺っていきたいと思います。さて、パネリストの方々に、挨拶がてらお話を伺いましたが、すでにかなり気合の入った言葉をいただきました。伺ったはいいんですけど、これをどうやってまとめたらいいのか、どっちの方向に行ったらいいのかという気がしますが。そうですね、ではご登場いただいてから岩本選手からはひと言もいただいていませんので、まずはパネラーの方々の意見を受けて、感想でも結構ですし今日の決意などでも結構ですので、ひと言いただけますか。
岩本 みなさん、こんばんは。ズシーンときたでしょ、今の話。いや、ほんまに。「今、日本のプロ野球は危機だと思いますか」という質問に75%の方から「はい」という回答をもらった時に、「俺らは危機のなかで野球をやってるんかい」と思ったのが率直な感想です。今、パネラーの方が言われて、「ああ、なるほど。広告に利用されとんのかな」って。頭の中がクシャクシャで何をしゃべっているのかわからん状態なんですけど。僕らがシーズンを通して野球をやって感じたことは、野球は不人気だ不人気だと言われているなかで、決してそういうふうにはとらえていなかったんですよ。で、僕の視点で発言させてもらいますと、やっぱり今メディアが充実しているじゃないですか。コンピュータをはじめ、ブロードバンドやなんやら。今は家のパソコンで野球が見られるそうじゃないですか。そういうのとか、「スカパー!」。SMAPがコマーシャルをやってるじゃないですか。「スカパー!」って。そういうものの充実で、「なんや、家で見られるやんか」って言っている人がなかにはいると思うんですよね。だから、球場から足が遠のいてしまう。お客さんが減る。それで、不人気だと言ってしまう。そこで僕らが考えるのが、球場でしか味わえない独特の雰囲気とか感動というのは何なのか。そこらへんを突っ込んで、選手もしくは選手会はやっているわけでして。どれだけ世の中の日本のプロ野球のファンの人たちに影響を与えることができるのか、僕らは考えているもんで。「不人気や!」と言われたらドキーッとして、何かまた考えなアカンのかなと。僕も、派手なパフォーマンスをしてまして、試合が終わってからのヒーローインタビューもテレビでやってもらっています。「まいどぉ〜、おおきに!」というのは、ファンの人との会話で言ったことがマイクに入ったことが始まりなんですけど、途中から広報の人が「一発言ってくれ」と。「なんでや?」って言うたら、「ファンの人が待ってるから」「ほな、言いましょう」。そうやって会話のキャッチボールを楽しみたい。選手として会社のことを考えると、僕が一発言わずに、「本日はありがとうございました」で終わると、僕らのチームは「パ・リーグその他の結果です」で終わるんですよ。これ、事実。ところが、僕が「まいどぉ〜!」と言うと映像が流れるわけですよ。これはたいへんな広告効果なんですよね。それを企業がわかっているのか、球場の独特なものをいかにつくるのかっていうのは議題のひとつです。今、会場に来られている方は、ファンですよね。そのファンの人は何を求めているのか、そこから僕個人としては入りたいんですけど。僕らが広告に利用されるのは、まあ、しょうがないというのが少しはあるんですけど、利用され過ぎるのはね、僕ら生身の人間なので困るんで。まあ、そのへんを突っ込んで今日は話していけたら、充実した会になるんじゃないかと思います。何を言うてるかわかってもらえましたか?
青島 よくわかりました。ありがとうございました。
岩本 いやあ、ごっついバッサリきたから、僕もバッサリいかなと思って。
青島 岩本選手の「まいどぉ〜」にも、深い意味があるんです。
岩本 でも、決して狙って言っているわけじゃないですよ。やっぱりファンの方が待ってくれてるんです。前にこういうことがあったんです。東京ドームで試合が終わった後に、僕らは入って2万人ですよ。スンマセン、1万2000人でした。入ってそんなもんですよ。その試合、僕が完投して勝った時に、1万人、いやスンマセン、8000人のお客さんが帰らずに残ってくれてたんですよね。僕が投げて勝ったけれど、ヒーローインタビューは、6対3で打ち勝った試合、打撃のヒーローでいいじゃないかって。「いや、お前が行かなあかん」「なんでですの」「岩本ちゃん、お客さん見てくれ」。ライトスタンドだけじゃなく、レフトスタンドの方も帰っていないわけですよ。で、何を待ってるのかと思えば、僕の一発を待っていただいたわけで。それで僕もそれに応えた。すごかった。チキン肌スタンドアップ。わかります? 鳥肌ですよね。それをお互い感じられたのが充実した時間だったし、これが球場で得られる独特の瞬間の感動であって、やってる本人も感動したし。だから、こういうのを広めたいと思うし。ご協力、お願いします。
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